ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の2019年度Q2決算を掘り下げながら分析
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はじめに

7月16日にジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の2019年度Q2決算が発表されました。

ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]は、合併や吸収・新会社の設立を通じて、世界中でヘルスケア製品の開発・生産・販売を行う、世界最大の総合ヘルスケア企業です。

なんといっても56年連続増配中なのが、本当にすばらしいですね。優良ディフェンシブ銘柄の代表格です。

 

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2019年度Q2決算

 

EPS 売上高
予想 $2.45 $202.9億
結果 $2.58 $205.6億

 

EPSも売上高も予想を上回りました。

地域別の売上高は、前年同四半期と比較して、米国内では2.2%減少、米国外では0.3%減少、全世界では1.3%減少しました。

部門別の売上高は、前年同四半期と比較して、一般消費者部門は1.2%増加、医薬品部門は1.7%増加、医療機器部門は6.9%減少しました。

それぞれの売上高は、一般消費者部門で$35.44億、医薬品部門で$105.29億、医療機器部門で64.89億でした。

ガイダンスでは、年間売上高の見通しは、2019年4月時点では$804億~$812億でしたが、7月時点で$808億~$816億に上方修正されました。また、予想EPSは2019年7月時点で$8.73~$8.83で、4月時点の見通しと変更はありませんでした。

 

では、さらに詳しく見てみましょう。

一般消費者部門は、ニュートロジーナ(NEUTROGENA)、AVEENO、OGXといった美容製品、ジルテック、MOTRINといったOTC製品、マウスウォッシュとして世界中で認知されているリステリンやベビーケア製品に牽引されました。

ニュートロジーナ(NEUTROGENA)は、ボディケア製品ですね。私もハンドクリームを使用したことがあります。これもジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の製品だとは知りませんでした。

アビーノ(AVEENO)は、オーツ麦を使用したボディケア製品のようですね。敏感肌用でしょうか。

OGXは、ヘアケアやボディケア製品のブランドのようです。日本では販売はないようで手に入るのは並行輸入品のみのようでした。

ジルテックは抗アレルギー薬です。花粉症によく使われますね。

MOTRINはイブプロフェン製剤のようです。解熱鎮痛剤ですね。日本の総合感冒薬にも含有されていることが多いです。

一般消費者部門の売上高$35.44億のうち、ベビーケアは$4.43億、美容製品は$12.02億、オーラルケアは$3.89億、OTCは$10.64億、女性用製品が$2.53億、創傷治療用品&その他が$1.93億ですので、一般消費者部門の主力は、美容製品とOTCであることがわかります。

ベビーケアは、米国外で6.3%減少したため、前年同四半期の売上高より2.8%の減少でした。

美容製品は、米国で4.1%増加、米国外でも14.1%増加し、前年同四半期の売上高より8.4%の増加でした。

オーラルケアは、米国で1.6%減少、米国外で0.7%減少し、前年同四半期の売上高より1.1%の減少でした。

OTCは、米国では6.6%増加しましたが、米国外では5.1%減少したため、前年同四半期の売上高より0.1%の減少でした。

女性用製品は、米国で10.3%減少、米国外で9.5%減少したため、前年同四半期の売上高より9.5%の減少でした。

創傷治療用品&その他は、米国で1.9%減少、米国外で6.4%減少したため、前年同四半期の売上高より3.4%の減少でした。

 

次は医薬品部門です。ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の医薬品部門は、ヤンセンファーマです。

医薬品部門の売上高$105.29億のうち、自己免疫疾患分野は$34.66億、感染症分野は$8.62億、精神神経疾患分野は$15.38億、腫瘍分野は$26.97億、肺高血圧分野は$6.9億、心血管&代謝&その他の分野は$12.75億でした。自己免疫疾患分野と腫瘍分野が主力であることがわかりますね。特に自己免疫疾患分野だけで、一般消費者部門の売上高とほぼ同じです。総合ヘルスケア企業であっても、やはり医薬品部門が最も重要であることがよくわかります。

それぞれの分野は細かく見てみましょう。

 

自己免疫疾患は、米国内外ともに前年同四半期より売上高を増やし、3.8%の増加でした。レミケードとステラ-ラが同分野の売上高の半分以上を占めます。

レミケードは米国内外で前年同四半期より売上高を減らし、16.2%の減少でした。特許切れのためバイオシミラーが販売されるようになりましたので、なかなか厳しいですね。

レミケードは生物学的製剤で、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤と呼ばれる薬です。関節リウマチ、ベーチェット病、乾癬、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、クローン病に適応があります。

ステラーラは米国内外で前年同四半期より売上高を増やし、16.1%の増加でした。

ステラーラも生物学的製剤ですが、抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤と呼ばれる薬です。乾癬やクローン病に適応があります。

 

感染症分野は、前年同四半期の売上高より米国外では8.7%の減少でしたが、米国内では17.8%増加したため、全体は1.5%の増加でした。

主力商品は抗HIV薬です。

HIVはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)の略語です。

HIVは、自分自身で増殖することはできません。免疫システムの司令官であるT細胞(CD4陽性リンパ球細胞)に感染して増殖し、最終的にはCD4陽性リンパ球細胞を破壊してしまいます。その結果、CD4陽性リンパ球細胞は徐々に数が減っていきます。やがて体の免疫力が弱くなり、厚生労働省が定めた合併症(日和見感染症)のいずれかを発症した場合、AIDSと診断されます。

AIDSは、Acquired Immunodeficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)という病気の略語です。

今のところHIVを死滅させることができる薬はありませんので、HIVの増殖を抑えて、できるだけAIDSの発症を遅らせることが重要になります。そのために使用する薬が抗HIV薬です。

抗HIV薬は、「ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬」、「非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬」、「プロテアーゼ阻害薬」、「インテグラーゼ阻害薬」、「CCR5阻害薬」に分類されます。

現在のHIV感染症治療は、抗HIV薬を3~4剤組み合わせて併用する抗レトロウイルス療法(ART)が標準になっています。HIV感染者の生命予後はかなり改善されてきていますが、HIVを完全に死滅させることは不可能であることから、HIV感染者が一生涯にわたって薬を飲み続けなければならないことが問題でした。そこで、できるだけHIV感染者が服薬を忘れたりやめたりしないように、数種類の薬を1剤にした合剤が開発され、そちらが主流となってきているようです。

非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤に分類されるエジュラントは、今四半期の売上高は$2.10億で、前年同四半期より0.6%の減少でした。内訳としては、米国内ではほとんど使用されておらず、9割以上が米国外での売り上げのようです。理由は書かれてはいませんが、おそらく米国内では前述のように合剤が主流になっているためではないかと推測されます。

プロテアーゼ阻害薬に分類されるプリジスタ、プリジスタと薬物動態学的増強因子(ブースター)であるコビシスタットの合剤であるプレジコビックス配合錠(米国)とレゾルスタ配合錠(欧州)、プリジスタと薬物動態学的増強因子(ブースター)であるコビシスタットとヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤であるエムトリシタビンとテノホビルの合剤であるシムツーザ配合錠は、決算書で売上高が合算されていましたので、残念ながら内訳がわかりませんでした。これら4種類の今四半期の売上高は$5.35億で、感染症部門の売上高の6割以上を占めています。これら4種類の今四半期の売上高は前年同四半期より、米国内で24.2%の増加、米国外で11.1%減少し、全体で8.7%の増加でした。ここにも詳細は書かれていませんでしたが、米国内では合剤が主流になっているためではないかと推測されます。シムツーザ配合錠は2019年7月26日に日本でも販売開始となっています。

 

精神神経疾患分野は、前年同四半期の売上高より米国外では1.6%の減少でしたが、米国内では3.8%増加したため、全体は0.6%の増加でした。

精神神経疾患分野の主力は、統合失調症に適応がある抗精神病薬であるインヴェガサステナ、 ゼプリオン、インヴェガトリンザおよびTREVICTAです。これらの売上高は、この分野の売上高の半分以上を占めます。今四半期の売上高は、前年同四半期と比較して、米国で15.6%の増加、米国外で10.4%の増加で、全体で13.6%の増加でした。

米国のインヴェガサステナおよび欧州のゼプリオンは、4週に1回注射で投与する持効性の統合失調症治療薬です。

また、米国のインヴェガトリンザおよび欧州のTREVICTAは、3ヶ月に1回注射で投与する持続性の統合失調症治療薬です。

 

腫瘍分野は、前年同四半期の売上高より米国では6.6%の減少でしたが、米国外では22.8%増加したため、全体は9.8%の増加でした。

腫瘍分野では、多発性骨髄腫治療薬のダラザレックス、マントル細胞リンパ腫や慢性リンパ性白血病に適応があるイムブルビカ、去勢抵抗性前立腺癌に適応があるザイティガが主力です。

多発性骨髄腫治療薬のダラザレックスは、前年同四半期の売上高より米国では24.4%、米国外では89.5%増加したため、全体は51.6%の増加でした。

マントル細胞リンパ腫や慢性リンパ性白血病に適応があるイムブルビカは、前年同四半期の売上高より米国では47.0%、米国外では25.3%増加したため、全体は34.1%の増加でした。

去勢抵抗性前立腺癌に適応があるザイティガは、前年同四半期の売上高より米国外では18.0%増加しましたが、米国では59.4%減少したため、全体は23.3%の減少でした。特許切れで後発品が出てきましたので、レミケードと同じくこちらも厳しいですね。

 

肺高血圧分野は、前年同前年同四半期の売上高より米国で2.2%、米国外で6.7%増加したため、全体は3.8%の増加でした。

肺高血圧分野では、オプスミット、ウプトラビが主力です。

オプスミットの売上高は、前年同四半期の売上高より米国では12.8%、米国外では11.5%増加したため、全体は12.3%の増加でした。

ウプトラビの売上高は、前年同四半期の売上高より米国では13.4%、米国外では62.5%増加したため、全体は18.2%の増加でした。

これらはアクテリオンの薬です。アクテリオンは肺高血圧症の治療薬をはじめとするスイスの医薬品メーカーですが、2017年にジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]に買収されました。

 

心血管&代謝&その他の分野は、前年同前年同四半期の売上高より米国では16.1%、米国外では10.5%減少したため、全体は16.0%の減少でした。

主力は抗凝固薬のイグザレルトです。イグザレルトはバイエルの薬ですが、米国での販売権はジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]が取得しているようです。

抗凝固薬の説明は、ファイザー[PFE]の記事で少し書きました。

イグザレルトの売上高は、米国のみになりますが、19.2%の減少でした。なぜここまで減少したかは決算書内には書かれていませんでしたね。

 

次は医療機器部門です。

医療機器部門の売上高$64.89億のうち、血管内治療領域は$7.5億、整形外科領域は$22.24億、外科領域は$23.53億、眼科領域は$11.61億でした。

これまでは、ライフスキャンという血糖値測定器メーカーを保有していましたが、2018年10月2日にPlatinum Equity社に約$20億で売却しています。

 

血管内治療領域は、前年同前年同四半期の売上高より米国で13.7%、米国外で11.6%増加したため、全体は12.6%の増加でした。これは、心房細動をはじめとした不整脈のカテーテル治療に用いられる電気生理学製品に牽引されたためです。

 

整形外科領域は。前年同前年同四半期の売上高より米国で0.1%、米国外で3.8%減少したため、全体は1.6%の減少でした。

整形外科領域では、人工関節や骨接合材、脊椎固定用インプラントなどを供給しています。

 

外科領域は。前年同前年同四半期の売上高より米国で9.5%、米国外で4.4%減少したため、全体は6.5%の減少でした。

外科領域では、縫合糸、縫合器、エナジー製品などを供給しています。

 

眼科領域は、前年同前年同四半期の売上高より米国で0.4%増加しましたが、米国外で2.0%減少したため、全体は1.0%の減少でした。

眼科領域では、コンタクトレンズや手術用製品を供給しています。

 

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まとめ

今回は、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の2019年度Q2決算について記事にしました。

決算の記事は早さが命であるにもかかわらず、もう3週間くらい経過していますので今さら感が半端ないですが、決算書をきちんと読んだことがありませんでしたので、一通り読んで調べてみました。

ベビーパウダーへのアスベスト混入隠蔽疑惑で揺れているジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]ですが、事業そのものは順調といったところでしょうか。

なんといっても56年連続増配中ですので、これからも安心してホールド&配当再投資していきたいと思います。

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