アルトリア(MO)の出資先から見える今後の戦略~電子タバコ~
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はじめに

先日は、アルトリアグループ(MO)から受け取った配当金と、アルトリアグループの子会社および戦略的投資先について記事にしました。

アルトリアグループは安定したディフェンシブ銘柄の1つではありますが、置かれている環境は厳しいと言わざるをえません。

米国の疾病管理予防センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、および国立衛生研究所の国立癌研究所(NCI)が2018年に発表したデータによると、米国の成人の喫煙率は、1965年は42%でしたが、2017年には14%まで低下しています。

従来の紙巻きタバコからのシフト、さらにはタバコメーカーでありながら「タバコ製品」そのものからのシフトが必要になってきているわけです。

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最近の出資先から見るアルトリアグループの今後の戦略

アルトリアグループは、2018年12月7日に、カナダのトロントに本社を置く世界的大麻企業であるクロノスグループ(Cronos Group)に18億ドルを出資し、約45%の株を取得する契約を締結したと発表しました。

さらに、今後4年間でさらに持株比率を55%まで増やすことができるワラントも取得しています。

取締役も4名指名できますので、クロノスグループはアルトリアグループの実質子会社になるということですね。

 

2018年12月20日には、米国の電子タバコ市場のリーダーであるJUUL(ジュール)に128億ドルを出資する契約を締結したと発表しました。

JUULの評価額は380億ドルになり、アルトリアグループの出資額は約35%程度にとどまるため、JUULの独立性は維持されるようです。

 

これらの2018年末に立て続けに発表された新たな出資にこそが、アルトリアグループの今後の戦略そのものです。

その戦略は以下の2点になります。

 

  • ニコチン中毒の成人喫煙者が、より有害性の低いニコチンの摂取方法に移行するのに役立つ可能性があるため、従来の可燃性の紙巻きタバコから電子タバコに切り替える成人喫煙者の数を増やしていくこと。

  • 今後10年間で急成長を遂げると見込まれていると考えられている新興の大麻セクターに参加することで、アルトリアの主要なたばこ事業を補完する、新たな成長機会を生み出すこと。

 

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電子タバコに対するFDAの懸念

アルトリアグループとしては、従来の可燃性の紙巻きタバコから電子タバコに切り替える成人喫煙者の数を増やしていきたいのですが、米国食品医薬品局(FDA)は、急速に普及している電子タバコに規制が必要と考えています。

ただ、規制といっても決して今のところ電子タバコを禁止しようと思っているわけではありません。

米国では、年間48万人が、タバコに関連する癌、肺気腫、心臓病、脳卒中によって死亡しています。また依然として3410万人の米国人が、可燃性のタバコを吸っています。

したがってFDAの揺るぎない方針は、従来の可燃性紙巻タバコから、より有害性の低いニコチン製品への誘導です。

ただ、現在のFDAの電子タバコに関する懸念は次の通りです。

 

  • 電子タバコを長期間使用した場合の安全性について
  • 電子タバコは本当に、ニコチン中毒者が従来の可燃性紙巻タバコをやめる手助けができるかどうか
  • 青少年の電子タバコの使用が急速に増加していること

 

特に3点目に強い懸念を示しています。

2011年から2017年の間に、タバコ製品の使用率は、高校生では24.2%から19.6%に、中学生では7.5%から5.6%に減少しました。

その一方で、電子タバコは2017年に高校生(11.7%)と中学生(3.3%)の間で最も一般的に使用されているタバコ製品になっています。

FDAは、「青少年の電子タバコ使用の急増は、電子タバコの販売において青少年を対象としている製造業者の無責任な行いが一因である」と断じています。

そこで、FDAは「青少年タバコ防止計画」を策定しました。その内容は以下の通りです。

 

  • 青少年のタバコ製品へのアクセスの制限
  • タバコ製品の青少年向け宣伝の抑制
  • 電子タバコを含むタバコ製品を使用することによる危険性の教育

 

電子タバコに対する規制は、現時点では青少年への対策に一貫している印象です。

電子タバコの使用に関連した短期および長期の健康への影響に関しては、研究による科学的証拠を待つしかありません。

iQOSの承認

2019年4月30日、FDAはついにiQOSの米国市場での販売を承認しました。

すでにフィリップモリスインターナショナル(PMI)によって世界中で販売されていましたが、米国内では未だ承認されていませんでした。

PMIとの独占的ライセンス契約に基づき、アルトリアグループの子会社のフィリップモリスUSA(PM USA)は、米国内でiQOSを商品化することになる予定です。

まとめ

今回は、アルトリアグループの出資先から見える今後の戦略について書きました。

いよいよiQOSが米国でも発売されることになりましたし、今後のアルトリアグループの成長が楽しみです。

アルトリアグループによるJUULへの出資は、従来の紙巻きタバコから電子タバコへの移行を米国内でも加速させたいアルトリアグループと、青少年への悪影響を防止するためにしっかりと管理下に置きたいFDAの思惑が一致したようにも思えますが、実際はどうなのでしょうか。

思ったより長くなりましたので、今回は電子タバコについてのみ記事にしました。

次回は、北米の大麻事情についてまとめたいと思います。

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