「年金2000万円不足問題」について~その2~

いわゆる「年金2000万円不足問題」についての感想は前回書きました。

政府が受け取りを拒否した文書を読んでみました。

これ、結構いいこと書いてるんですけどね・・・
この中で「1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)」の「⑶金融資産の保有状況」には以下のように書かれています。

なお、米国では75歳以上の高齢世帯の金融資産はここ20年ほどで3倍ほどに伸びている一方、わが国の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで推移しており、対照的な動きとなっている。米国では、市況が好調だったことに加え、401(k)プラン等の制度的な後押しもあり、現役期から資産形成を実行し且つ継続するとともに、そのような世代が歳を重ねるに従い、高齢世帯の資産が増加していったと推察される。この点、わが国でも後述するつみたてNISAやiDeCo等が整備され、個人が長期の資産形成を行うに際して、制度的な環境が整いつつある。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
つみたてNISAやiDeCoが始まったのは、公的年金だけでは十分ではないと思われるため、できるだけ自分で資産運用して補って欲しいという政府のメッセージであることは明らかですよね。
それなのに、今さらこの報告書がおかしいと騒ぐ方もどうかしてるし、それに対してごまかす方もどうかしています。
問題になっているところは、「2.基本的な視点及び考え方」の「⑴長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要」の以下の記載です。

 前述のとおり、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300~2000万円になる。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
しかし、ちゃんと読めば続きがあります。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
年金の種類やかけ方でも大きく変わってきますし、いつまで働くかでも変わってきますし、その人のライフスタイルによって支出額も大きく変わってきますからね。
結局この報告書は、金融庁が作成したものであり、「資産寿命を増やすためのアドバイス」をしてくれているに過ぎません。
それを「年金が2000万も足りないなんて!」と言って攻撃して、金融庁の役人が謝罪していること自体が茶番でしかありません。
【長期・積立・分散投資の有効性】というところには、米国株についても言及がありました

 さらに期間を40年という超長期で見ても、日経平均だけに積立投資するよりも、日経平均だけに積立投資するよりも、米国NYダウと組み合わせた方がトータルリターンはさらに大きくなり、そのバラつきも小さくなる。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
金融庁も米国株を推奨しているということです。
この機会に、つみたてNISAやiDeCoの枠を増額してもらうことが最も望ましいと思いますが、選挙のためにしか動かない与党と野党のせいで、この報告書自体がなかったことにされて、本質的な議論がなされないことは本当に残念でなりません。
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