ファイザー[PFE]の4つのニュースから見る今後の決意〜2019年度Q2決算とともに〜
kalhh / Pixabay
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はじめに

ファイザー[PFE]は、売上高が世界でトップ3に入る大手製薬会社です。

ドイツから渡米したチャールズ・ファイザーとチャールズ・エアハルトが、1849年に化学会社チャールズ・ファイザー・アンド・カンパニーを設立したのが始まりです。

以前は売上高世界1位の製薬会社でしたが、最近はロシュ[ROG.S]に抜かれているようですね。

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2019年度Q2決算

2019年7月29日に、2019年度Q2決算が発表されました。

EPS 売上高
予想 $0.75 $134億
結果 $0.80 $133億

 

EPSは予想を上回りましたが、売上高は予想を下回るという結果でした。

また、2019年4月のガイダンスでは、予想売上高が $520億〜$540億でしたが、$505億〜$525億に下方修正されました。

また、同じく予想EPSは$2.83〜$2.93でしたが、こちらも$2.76〜$2.86に下方修正されました。

 

もう少し詳しく見てみましょう。

医薬品部門の売上高は$96億で、前年同四半期より2%増加しました。

 

腫瘍(オンコロジー)部門においては、CDK4/6阻害剤であるイブランスが業績を牽引しています。前年同四半期より売上高が23%増加しました。

内訳としては前年同四半期の売上高と比較して、米国内で12%、海外で52%増加しました。海外ではいずれの地域においても前年同四半期の売上高よりかなり増加しており、ヨーロッパ先進国では44%、日本を含むその他の地域の先進国では36%、新興国ではなんと96%増加しています。

イブランスはホルモン受容体陽性&HER2陰性乳癌に適応があります。臨床試験によって、これまでの標準治療である内分泌療法単剤より、内分泌療法+イブランスの方が成績が良かったため、世界中で使用されるようになっています。今後も注目ですね。

 

内科部門では、抗凝固剤であるエリキュースが業績を牽引しています。前年同四半期より売上高が22%増加しました。

エリキュースはいわゆる「血が固まりにくくなる」薬剤です。

長嶋茂雄さんが脳梗塞に罹患された際に話題になりましたが、心房細動という不整脈の患者さんは心臓の中に血栓(血の塊)ができやすく、それが脳にとんでしまうと脳梗塞になってしまいます。

それを予防するのが抗凝固剤と呼ばれる種類の薬剤なのですが、その一つがエリキュースです。私も処方することがありますが、良い薬ですね。

ちなみにエリキュースはブリストル・マイヤーズ スクイブ[BMY]によって発見され、開発および販売に関してフェイザー[PFE]と提携してきたようです。

まあなんとなくこういった情報からもファイザー[PFE]が新薬開発において苦しんでいるところが見え隠れしています。

 

炎症性疾患および自己免疫疾患部門においては、分子標的薬ゼルヤンツとエンブレルが主力製品です。ゼルヤンツは前年同四半期の売上高より32%増加エンブレルは 24%減少しました。

ゼルヤンツはJAK阻害剤という分子標的治療薬です。海外で前年同四半期より売上高が85%増加しました。これは、先進国で最近新たに潰瘍性大腸炎の適応を取得したことに加えて、引き続き関節リウマチの適応でも使用されたためです。米国でも前年同四半期より売上高が21%増加しています。これは関節リウマチの適応で引き続き売上が増加しただけでなく、潰瘍性大腸炎や乾癬性関節炎においても新たな適応を取得したためです。

エンブレルは可溶性TNFα/LTαレセプター製剤と呼ばれる薬剤で、関節リウマチに適応があります。こちらは前年同四半期より売上高が24%減少しました。これは、新興国で政府が購入する時期によって不利な影響を受けただけでなく、ヨーロッパの先進国市場においてバイオシミラーとの競争が続いているためです。

 

ワクチン部門においてはプレベナー13が業績を牽引しています。しかし、前年同四半期より売上高が6%減少しました。これは成人の適応について売上が減少し続けていることと、小児の適応において政府の購入量が減少したためです。

 

次にUpjohn部門です。Upjohn部門というのは、ファイザーの特許が切れた薬剤や後発医薬品を扱っている部門です。

神経障害性疼痛治療薬リリカ、高脂血症治療薬リピトール、降圧剤ノルバスク、消炎鎮痛薬セレコックス、勃起不全治療薬バイアグラやその他の後発医薬品を扱っています。

今でもよく使われる良い薬ばかりですね。以前はファイザー[PFE]が立て続けに良い薬を開発・販売し続けていたことがよくわかります。

そのUpjohn部門の売上高は$28億で、前年同四半期より11%減少しました。前年同四半期の売上高と比較して、リリカは4%リピトールは22%ノルバスクは21%バイアグラは38%減少しました。

特許が切れると他社から立て続けに後発医薬品が販売されるので当然ですけどね。

 

最後に一般消費者向けヘルスケア部門です。

一般消費者向けヘルスケア部門の売上高は$8.6億で、前年同四半期より3%減少しました。

 

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4つのニュース

ファイザー[PFE]はここ数ヶ月で、今後の方針を示す重要なニュースを4つ発表しています。

 

1つめは、非上場臨床バイオテクノロジー企業であるTherachonの買収が完了したと2019年7月1日に発表しました。

この買収の際に$3.4億を支払いましたが、TA-46の開発及び商品化に関する重要な節目に追加で$4.7億を支払う予定です。

TA-46は軟骨無形成症の治療薬として治験中の薬です。

軟骨無形成症は遺伝性疾患で、短肢小人症を来す疾患の中で最も一般的な疾患です。

現時点では、軟骨無形成症に対して承認された治療法はないようです。

現在、ファイザー[PFE]には希少疾患部門もあるようで、力を入れている分野の一つのようですね。

 

2つめは、アレイ・バイオファーマ社の買収が完了したと7月30日に発表しました。買収額は約$114億です。

アレイ・バイオファーマが開発・販売していたBRAF阻害剤であるビラフトビとMEK阻害剤であるメクトビの併用療法は、 BRAFV600EもしくはBRAFV600K変異の切除不能もしくは転移性悪性黒色腫の治療薬として世界中で承認されています。

さらなる適応拡大が期待されており、30以上の臨床試験が進行中です。

その中には、BRAF変異転移性大腸癌治療に関する第3相BEACON試験も含まれています。 

 

3つめは、Upjohn部門を分社化し、大手後発医薬品メーカーのマイラン[MYL]と合併することを7月29日に発表しました。

マイラン[MYL]は、1961年にウエスト・バージニア州のホワイト・サルファー・スプリングスで始まった企業です。

主に後発医薬品を製造・販売している世界的なリーディングカンパニーの1つであり、7,500以上の製品を上市しています。

ファイザー[PFE]の株主は合併後の新会社の57%を所有し、マイラン[MYL]の株主は43%を所有することになります。

規制当局やマイラン[MYL]の株主の承認を得ることができれば、2020年半ばに手続きが完了する予定とのことです。

統合新会社の売上高は、後発医薬品メーカーで世界最大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズに並ぶ規模になります。

 

4つめは、一般消費者向けヘルスケア部門をグラクソ・スミスクライン[GSK]の同部門と統合して合弁会社を設立すると8月1日に発表しました。

ファイザー[PFE]は合弁会社の32%の株式を所有し、グラクソ・スミスクライン[GSK]は68%を所有することになります。
グラクソ・スミスクライン[GSK]は、将来的には合弁会社を独立企業として分離する予定のようです。

まとめ

今回は、ファイザー[PFE]の2019年度Q2決算の詳細と、先日立て続けに発表された4つの重要なニュースについてまとめました。

4つのニュースは大きく分けると、「2件の買収」「2件の分離」です。

Therachonとアレイ・バイオファーマの買収によって、それぞれが開発している、もしくは販売している新薬を手に入れることができました。今後はファイザー[PFE]のノウハウを駆使して、開発中の新薬はできるだけ早く販売開始できることが、またすでに販売中の新薬は新たな適応を取得できることが期待されます。

また、Upjohn部門と一般消費者向けヘルスケア部門は今回の2019年度Q2決算でも、いずれも売上高は前年同四半期より減少していました。これらをファイザー[PFE]本体から切り離すことで、新薬開発に集中できることが期待されます。

2019年度Q2決算発表前の株価は7月26日の終値で$43.09でしたが、決算発表後は下がり続け、8月1日の終値は$38.25まで低下しています。ここ数日は他の要素の影響もあるのですが、なかなかの下落ぶりですね。

しかし、不採算部門を切り離し、収益が期待できる新薬開発に集中するという方針は、私は間違っていないと思います。

やはり企業が苦しいときは、「選択と集中」は必要です。さらに製薬会社である以上、新薬の開発が最も重要ですので、そこに集中するしかないわけです。

Upjohn部門の特許切れ薬剤のそうそうたるラインナップを見て、以前のファイザー[PFE]に新薬開発力があったことをあらためて感じました。

またリピトール級の「ブロックバスター」が出現することを期待しつつ、粘り強くホールド&配当金再投資を続けていきたいと思います。

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